デジタル回路基礎 | ||||
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カウンタ(counter)は計数回路とも呼ばれ,“数をかぞえる”という働きをします.数をかぞえる場合,何かに置き換えてかぞえることがよくあります.例えば,人の指あるいは小石を並べるなどし,幾つ物があるのかかぞえます.このよい例が算盤です. デジタル回路の中では時間的に"1"と"0"に変化するパルスを取り扱っているので,数をかぞえるというのは時間内にパルスの数が幾つあったかということになります.この働きを持った回路はFFの機能を使って作ることができます.基本的にはFF 1段で2進数1桁の計数を行うことができます.
図 34 T-FFの動作 カウンタの機能を持つFFとしてT-FFがあります.図 34に動作を示します.T-FFはパルスが1個入ってくるごとに出力が反転するFFです.このT-FFを図 35に示すように3個直列に接続したときの動作を調べてみます.T0に入力パルスが加えられたとき,T-FFは入力パルスの1/2の数の出力パルスが現れます.従って,出力Q0〜Q2は図 35のタイムチャートのように反転を繰り返すので,入力パルスが8個加わるとQ0〜Q2の出力は全て"0"になり,9個目から同じ動作を繰り返します.これらのことから,T-FFの出力の"1"と"0"の組み合わせにより幾つパルスが加えられたか判断することができます. 数える数値を大きくしたい場合は,必要な数だけT-FFを増やしてやればよいT-FF 3個の場合は23=8で0〜7まで8個数えることができます.
図 35 T-FFの接続によるカウンタ
非同期カウンタと同期カウンタカウンタは大きく分けると非同期式と同期式の2種類があります.非同期式のカウンタはFFの出力が次段のFFの入力になるように並んでいます.図 35に示すカウンタは非同期式のカウンタです.これに対して同期式のカウンタはFFのクロック端子を入力に接続し同時にすべてのFFを駆動する方式です.次にFFを使った同期式カウンタの例を示します.
図 36 同期式16進カウンタ 同期式カウンタは非同期式に比べると回路が複雑になりますが,すべてのFFが同時に動作するので非同期式に比べてすばやく動作することができます. カウンタに限らずデジタル回路は大きく同期式と非同期式に分けられます.回路の規模が小さいうちは非同期式が設計・製作ともに簡単にできますが,回路規模が大きくなると遅延などの計算が複雑になるので,規模の大きな回路は同期式で設計されます.
アップカウンタとダウンカウンタカウンタにはアップカウンタとダウンカウンタがあります.アップカウンタは0,1,2,3とパルスが入るたびにカウントアップするカウンタです.ダウンカウンタは3,2,1,0とカウントダウンするカウンタです.前に述べたカウンタはすべてアップカウンタです.ダウンカウンタの回路を次に示します.
図 37 非同期8進ダウンカウンタ
カウンタICT-FFを3個使い作ったカウンタは23=8で8進カウンタに,4個使うと24=16で16進カウンタになります.このように2進カウンタをn個使うと2n進カウンタになることがわかります.しかし,T-FFでカウンタを作るとICの数を多く用いなければいけません.また,人間は10進数を用いるために2n進では都合が悪く,10進(BCD)カウンタを作るにはさらに多くの部品を必要とします.これらのことを解決するのにカウンタ専用ICがあります.例をあげると10進(BCD)カウンタ74LS90,16進カウンタ74LS93などがあります.図 38に74390を使用した10進カウンタの例を示します.
図 38 74390を使用したBCDカウンタ 74390のCLR端子はリセット端子です.この端子が"1"になるとカウンタがリセットされ,出力が全て"0"になります.これを利用すると3進,4進,5進,・・・10進までの任意のカウンタを作ることができます.図 39に6進カウンタの例とタイムチャートを示します.
図 39 74390による6進カウンタ 図 39(b)のタイムチャートより,パルスの6個目が入力されたとき7408によりリセット信号を発生しカウンタの値を0に戻すことで6進カウンタとして動作していることがわかります.またこのとき,QBに不必要なパルス“ハザードパルス”が現れます.このパルスは,回路の誤動作の原因になることがあります. 74390には入力端子が2つあります.なぜ,2つあるかというとICの内部が2進カウンタ+5進カウンタの2段の構成になっているためです.その構成は入力Aと出力QA+入力B+出力QB,QC,QDとなっています.カウンタの主な用途にはものを数えるほかに信号の分周があります.分周された信号はデュティー比が50%になっているのが望ましいのですがカウンタとして使用した場合は必ずしも50%になりません.デュティー比を50%にしたい場合,2つに分かれていたほうが都合が良いのです.図 40に74390を用いた6分周回路を示します.図 39の回路も同じ分周回路として使えますが,こちらの回路では出力のデュティー比が50%になります.
図 40 分周回路
カウンタICの多段接続カウンタIC1個ではカウントできる数に限界があります.これよりたくさんの数を数えたい場合はカウンタICを2個,3個と使う必要があります.非同期のカウンタICの場合は簡単に,カウントできる数を増やすことができます.
図 41 74390を使用した100進カウンタ 図 41に示す回路は00から99まで10進でかぞえる100進カウンタです.1つの74390では0から9までしか数えることができないので,これを2段接続することにより99まで数えられるようにしています.多段接続した場合でもCLR端子を使用して任意進数のカウンタを作ることができます.図 42に時計に使用できる24進カウンタの例を示します.
図 42 24進カウンタ
同期式カウンタICこれまで述べてきたものは非同期式のカウンタICについての話でした.同期式のカウンタICは非同期式と異なる特徴, l クロックはすべてのFFに等しく入力する. l 信号の遅延はFF1個分しかない. があるので,非同期式のICとは少し違った使い方をしなければいけません.
図 43 10進同期式カウンタIC 図 43に示す回路は同期クリアつきプリセッタブル同期10進カウンタIC74162を用いた10進カウンタの例です.
同期クリアと非同期クリア同期式カウンタICには同期クリアと非同期クリアと呼ばれる2種類のクリア(Reset)機能があります.非同期式はCLR(Rest)端子に信号が加わるとすぐに出力が"0"になるものです.同期式はCLR(Rest)端子に信号が加わっても出力は"0"になりません.CLR(Rest)端子に信号が加わり,さらにCLK端子にパルス(エッジ)が加わると初めて出力が"0"になります.
図 44 同期・非同期のクリアの違い 同期式カウンタICを使いn進カウンタを作る場合は同期クリア方式のICを使用しないと同期式の利点が発揮されません.
プリセッタブル機能カウンタICは通常0から数え始めますが場合によっては1や2などの0以外から数え始めたい場合もあります.0以外から数え始めたい場合に使用するのがプリセッタブル機能です.74162ではA,B,C,D,LD端子でこの機能を使用します.A,B,C,D端子に数え始める数字を2進数で設定します.LD端子に信号が加わりCLK端子にパルスが入力されるとA,B,C,D端子に設定された数が出力されます.(同期クリアと同じ動作です.) 図 45に74162を使用した3から9までかぞえるカウンタの例を示します.非同期では9までかぞえるカウンタを作る場合は出力が10(最大出力値+1)になったところでリセットをかけましたが,同期式では9(最大出力値)のときにリセット信号を発生するようにします.これは,同期式カウンタの同期クリア機能のためです.
図 45 同期式カウンタを使用した3から9まで数えるカウンタ.
同期式カウンタICの多段接続同期式のカウンタICの多段接続は,非同期式と大きく異なります.同期式ICは多段接続を行うための端子ET(Enable T),EP(Enable P),CO(Ripple Carry Output)があり,これを使って多段接続を行います.ETとEPは正論理の入力端子でカウンタICの動作・停止を決定します.CO端子はカウンタがオーバーフローする直前に正論理の信号を出力します.
図 46 74162を使用した100進カウンタ
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参考図書 |
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